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外国子会社の組織再編

国際税務

外国子会社による海外事業運営が進むにつれ、複数の外国子会社を統合したり、外国子会社の一部事業を分割したりといった組織再編を行うことがあります。
日本における組織再編であれば、日本の組織再編税制を検討すればよいですが、外国子会社側での組織再編においては、税務上どのような検討をすればよいのでしょうか。

まず再編当事者である外国子会社の課税関係を、現地の税法に基づいて検討することになりますが、その上でさらに、再編当事者の株主である日本親会社についても、現地税制及び日本の組織再編税制にのっとって株主課税の有無を検討する必要があります。

外国子会社側での課税関係は、当然ながら各国の制度によって決まりますが、ごくおおざっぱに言えば、日本の組織再編税制と同様、一定の要件を満たした場合は非課税又は課税繰り延べになり、それ以外は課税という制度が多いと思われます。
ただ、日本と同様、組織再編税制は各国とも複雑であり、特有の要件などもありますので、その国の信頼できる税務専門家への照会が不可欠です。

他方、株主である日本親会社は、外国子会社の組織再編に伴って日本で課税を受ける可能性があります。これは、日本の子会社同士が組織再編した場合に親会社でみなし配当課税や株式譲渡益課税が生ずる場合があるのと同様であり、日本の税制に則って日本親会社側で別途検討することになります。

仮に、外国子会社所在地国の税制で、非課税や課税繰り延べに該当する扱いを受けたとしても、それとは別に、日本における日本親会社の株主課税は日本の税法に従ってあらためて適格性の判定から行う必要があります。

この検討の際に悩ましいのが、そもそも外国子会社が行った組織再編が、日本の会社法に規定されるそれと合致するか否かという点です。つまり、外国で「合併」を行った場合でも、それが必ずしも日本の会社法に規定する合併に該当するとは限らないということです。実務上は、現地法制に規定する合併制度とその経済的実質が、日本の会社法上の合併制度と相当程度類似している場合には、日本の合併と同等のものとみなす運用をしているようです。

現行の税法上はそのあたりが明確に規定されていませんが、日本租税研究協会から平成24年に研究報告書「外国における組織再編成に係る我が国租税法上の取扱いについて」が出ており、事実上のガイドラインになっていると思われますので、詳細についてはこちらをご参照ください。

(租税研究協会 国際的組織再編等問題検討会 報告書)
https://www.soken.or.jp/sozei/wp-content/uploads/2019/09/kokusaisosikisaihenhoukoku2012.07.pdf