管理支配基準の留意点
外国子会社合算税制外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)においては、外国関係会社が経済活動基準を全て満たしているのかどうかが、判定の第一歩となりますが、この経済活動基準の中でも一番悩ましいのは、管理支配基準ではないでしょうか。
管理支配基準とは、外国関係会社が、その本店所在地国において、その事業の管理、支配及び運営を自ら行っているかどうかを確認するものです。
管理支配基準の判定
管理支配基準の判定にあたっては、次のような諸要素を総合的に勘案したうえで、判定を行うこととされています(租税特別措置法通達66の6-8)。
- 本店所在地国での、株主総会及び取締役会等の開催
- 本店所在地国における、事業計画の策定等
- 本店所在地国における、役員等の職務の執行
- 会計帳簿等の作成やその保管が行われている場所
- その他の状況
租税特別措置法通達66の6-8
措置法第66条の6第2項第2号イ(2)及び第3号ロにおけるその事業の管理、支配及び運営を本店所在地国(同項第2号イ(2)に規定する本店所在地国をいう。以下66の6-27までにおいて同じ。)において行っているかどうかの判定は、外国関係会社の株主総会及び取締役会等の開催、事業計画の策定等、役員等の職務執行、会計帳簿の作成及び保管等が行われている場所並びにその他の状況を総合的に勘案の上行うことに留意する。
たとえば、外国関係会社の本店所在地国に事務所がありそこで従業員が働いているとしても、役員をはじめ経営幹部は日本親会社を兼務して働いており、日本から遠隔で外国子会社の経営管理をしているような場合は、この基準を満たすことは困難と言えます。
この管理支配基準の趣旨は、外国子会社がその本店所在地国に、物理的な実体だけでなく、経営管理という機能的な活動実体をも備えているかどうかを確認するものです。
業種で客観的に白黒がハッキリする事業基準や、事務所や工場などの固定施設の有無で決まる実体基準、非関連者との取引金額の割合で決まる非関連者基準などと異なり、管理支配基準にはハッキリと客観的に判断できる物差しが乏しく、なんともグレーで曖昧な基準に感じるかもしれません。
「管理、支配及び運営を自ら行っていること」
さらに、「管理、支配及び運営を自ら行っていること」の解釈についても、以下の通達で国税庁の考え方が示されています。
租税特別措置法通達66の6-8(自ら事業の管理、支配等を行っていることの意義)
措置法第66条の6第2項第2号イ(2)及び第3号ロの「その事業の管理、支配及び運営を自ら行つている」こととは、外国関係会社が、当該外国関係会社の事業計画の策定等を行い、その事業計画等に従い裁量をもって事業を執行することであり、これらの行為に係る結果及び責任が当該外国関係会社に帰属していることをいうのであるが、次の事実があるとしてもそのことだけでこの要件を満たさないことにはならないことに留意する。
(1) 当該外国関係会社の役員が当該外国関係会社以外の法人の役員又は使用人(以下66の6-8において「役員等」という。)を兼務していること。
(2) 当該外国関係会社の事業計画の策定等に当たり、親会社等と協議し、その意見を求めていること。
(3) 当該事業計画等に基づき、当該外国関係会社の業務の一部を委託していること。
つまり、役員等を他社と兼務することや、事業計画等について親会社と協議し意見を求めること、業務の一部を他に委託することといった事実があったとしても、そのことだけをもって要件を満たさないことにはならないが、事業計画等の策定やそれに基づく経営意思決定、業務執行を親会社や他社に依存せずに外国関係会社自らが主体的に行っていることが求められています。
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