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第三者介在取引に対する移転価格税制の適用

移転価格税制

移転価格税制は、海外子会社など外国にあるグループ企業との間で、モノやサービスを安く販売したり高く仕入れたりすることにより、所得が外国に移転してしまうことを防止する税制です。
第三者間でシビアな交渉を経て行う取引と異なり、グループ企業間の取引では、業績の低迷する子会社に特別安く棚卸資産を販売するなど、身内びいきのような価格で取引がなされる可能性があります。あるいは、法人税率の低い国に所得を移転するために意図的に価格を設定する企業もあるかもしれません。
そのような手心の加わったグループ内の価格設定を防止するために、移転価格税制が施行されており、移転価格税制の適用対象は、一定の資本関係にあるグループ企業間の取引です。
では、海外グループ会社と直接取引せずに、資本関係のない第三者を介して取引すれば、移転価格税制は適用されないのでしょうか?

答えはノーです。

形式的に第三者が介在しているに過ぎない場合にまで移転価格税制の適用がないとすると、第三者を介在させることによって意図的に移転価格税制を回避することが可能になってしまいます。

第三者が間に入っていても移転価格税制の適用に

このような抜け道を防止するために、形式的に第三者を介在させただけの取引は移転価格税制の適用対象となっています。
具体的には、第三者を介在させて国外関連者と行う次のような取引は、国外関連取引とみなされます。

➀日本法人と第三者との間で行う取引の対象となる資産や役務その他のものが、当該日本法人の国外関連者に販売や貸付け等の方法によって移転又は提供されることが、第三者との取引を行った時点で契約などにより予め決まっている場合で、
かつ、当該移転又は提供に係る対価の額が、日本法人と国外関連者との間で実質的に決定されていると認められる場合

②国外関連者と第三者との間で行う取引の対象となる資産や役務その他のものが、日本法人に販売や貸付け等の方法によって移転又は提供されることが、第三者との取引を行った時点で契約などにより予め決まっている場合で、かつ、当該移転又は提供に係る対価の額が、日本法人と国外関連者との間で実質的に決定されていると認められる場合


つまり、第三者との取引を行う時点で、既にその先において国外関連者に転売することが決まっており、かつ取引価格も日本法人とその国外関連者との間で実質的に決められているような場合には、国外関連取引とみなしますよ、という規定になっています。

なお、この規定の適用においては租税回避の意図は問いませんので、移転価格税制を免れる意図なく知らず知らずのうちにこのような取引を行っていたとしても適用になります。
グループ内でこのような商流による取引を行っていないか、一度確認してみることをお勧めします。