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移転価格文書を提出できない場合の「推定課税」

移転価格税制

法人が国外関連者との間で一定額以上の取引を行う場合、法人税確定申告書の提出期限までに移転価格文書(ローカルファイル)を作成し、保存することが義務付けられています。
具体的には、一の国外関連者との取引において以下のうちのいずれかの要件を充足する場合には、ローカルファイルを確定申告書提出期限までに作成または取得して、原則として7年間(欠損金額が生じた事業年度に係る書類については10年間)保存しなければならないものとされています。

●国外関連取引の合計金額が50億円以上
●無形資産取引の合計金額が3億円以上

そして、税務当局から要請があった場合は、法人は45日以内の指定された期日までに提出しなければならず、期日までに提出がない場合には、税務当局は推定課税(類似企業の利益率等を用いて移転価格課税を行う)や同業者調査を行うことができます。

では、国外関連取引が上記金額基準を下回っていればローカルファイルを作らなくていいのか?というと、そうではありません。

あくまでこの金額基準は、ローカルファイルを確定申告書の提出期限までに作成しなければならないという義務であって(これを「同時文書化義務」といいます)、金額基準に達していなければローカルファイルを作成しなくていい、という規定ではありません。

この金額基準に満たない取引の場合、ローカルファイルの作成期限は設けられていないものの、税務当局からの要請があった場合は60日以内の指定された期日までにローカルファイルに相当する書類を提出しなければなりません。つまり、金額基準に達していようといまいと、税務当局からの要請があれば提出しなければならないことには変わりなく、期日までに提出が無い場合は、上記同様、税務当局は推定課税(類似企業の利益率等を用いて移転価格課税を行う)や同業者調査を行うことができることになります。

中小企業様のなかには「移転価格税制なんて大企業の話であって、ウチはまだそこまで対応しなくても」などとおっしゃる会社様もお見かけしますが、移転価格税制に適用免除規定などはありません。たとえ同時文書化義務がなくても、海外子会社等との取引が重要と考えられる会社では、ローカルファイルを予め作成しておき、いざ税務調査となった時に指定期限内に提出できるよう準備しておくことが望まれます。


プレミア国際税務事務所にお任せください

このような推定課税を受けないためには、税務調査が来てから慌てても遅く、日頃からローカルファイルの作成や移転価格ポリシーの整備を、しっかり行っておくことが必要です。

プレミア国際税務事務所では、海外グループ会社との取引における移転価格リスク分析、移転価格ポリシーの構築やローカルファイルの作成を承っております。お気軽にお問い合わせください。