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所得税の源泉徴収における「支払」とは?

国際税務

所得税の源泉徴収制度においては、「支払」によって源泉徴収義務が生じますが、
この「支払」がなにをいうのかについては、留意する必要があります。

相手方に現金を支払ったり銀行振り込みを行うことは、当然「支払」に含まれますが、
それ以外にも「支払」とされる行為があり、所得税基本通達に示されています。

所得税基本通達181~223共-1(支払の意義)

法第4編《源泉徴収》に規定する「支払の際」又は「支払をする際」の支払には、現実に金銭を交付する行為のほか、元本に繰り入れ又は預金口座に振り替えるなどその支払の債務が消滅する一切の行為が含まれることに留意する。

この通達では「支払の債務が消滅する一切の行為が含まれる」という考え方が示されており、これによれば債務の相殺など支払にも含まれることになると考えられます。

所得税基本通達181~223共-2(支払者が債務免除を受けた場合の源泉徴収)

給与等その他の源泉徴収の対象となるものの支払者が、当該源泉徴収の対象となるもので未払のものにつきその支払債務の免除を受けた場合には、当該債務の免除を受けた時においてその支払があったものとして源泉徴収を行うものとする。ただし、当該債務の免除が当該支払者の債務超過の状態が相当期間継続しその支払をすることができないと認められる場合に行われたものであるときは、この限りでない。

この通達によれば、債務免除も「支払」に当たることになります。
支払概念をめぐってはあいまいな部分もあり、裁判例も出ておりますが、思わぬ源泉徴収漏れにならないよう、その範囲には留意する必要があります。