役員報酬~租税条約上の取扱い
租税条約一般に人的役務に対する報酬については、物理的にその人的役務を行った国(労務提供地)に第一次課税があるのが原則ですが、
役員としての人的役務は、日常業務への関与というよりは企業の経営に従事することがその職務であり、物理的な場所との結びつきは必ずしも強くないことから、労務提供地を特定することが困難であるという性質にかんがみ、
OECDモデル租税条約においては、役員報酬について、労務提供地ではなく、その法人の所在地国に課税権があるとされています。
日本の国内法においても、内国法人の役員報酬は、その役務が国内・国外のいずれで行われていようと、すべて「国内源泉所得」とみなすこととされています(所得税法161条1項十二号イ)。
そして日本が締結した租税条約のほとんどにおいても、法人所在地国に課税権を認める取扱いとなっています。
なお、租税条約上「役員」の定義はなされていないため、源泉地国の国内法上の役員の定義に従うことになります。
もし源泉地国の「役員」の定義に照らして、役員としての資格に基づき受領する報酬と認められない場合には、役員報酬条項ではなく、その所得の性質に応じて給与所得条項や事業所得条項などが適用されることになるため、注意が必要です。
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