受動的所得とは
外国子会社合算税制外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)では、4つの経済活動基準により本店所在地国における能動的な活動実体の有無を判定し、外国関係会社がそれを1つでも満たしていない場合、その会社全体の所得が日本の株主の所得に合算されて日本の法人税もしくは所得税が課税されます。
では、4つの経済活動基準を全て満たしさえすればOKで、合算課税がなされないのでしょうか。いえ、そうではありません。
外国子会社合算税制では、本店所在地国における活動実体があっても、金融所得や資産の貸付対価など、あえてその国での能動的な活動を必要としないような資産運用的な所得(受動的所得)については、租税回避のおそれがあるとして、当該所得を部合算する制度を置いています。
部分合算の対象となる「受動的所得」とは?
この能動的な活動を要せずに稼得できる受動的所得のうち、外国子会社合算税制における部分合算対象とする所得が12種類、「特定所得」として限定列挙されています。
(※なお、金融業を営む外国関係会社については、一定の受動的所得が部分合算の対象から除外されるなどの措置が講じられています。)
この特定所得として限定列挙された受動的所得がある場合には、一定の少額免除基準(デミニマス基準)に該当する場合を除き、日本の株主の所得に合算して日本の法人税もしくは所得税が課税されます。
外国関係会社が経済活動基準の4要件を全て満たしているとしても、それだけで安心せずに、このような受動的所得を計上していないかどうかを併せて確認することが必要です。決算期になってから慌てないためにも、日頃から外国関係会社の担当者とのコミュニケーションをしっかり取っておくことが有益でしょう。
「受動的所得」部分合算の免除基準
外国関係会社が上記で示した一定の受動的所得を得ている場合でも、その合計額が少額の場合には合算課税が免除されます。具体的には次のいずれかの場合です。
- 対象となる外国関係会社の事業年度における受動的所得の合計(※注)(税法に規定する一定の計算を経た金額)が、2,000万円以下である場合
- 対象となる外国関係会社の事業年度の所得のうちに占める受動的所得の合計1(税法に規定する一定の計算を経た金額)の割合が、5%以下である場合
また、この少額免除のほか、対象となる事業年度における外国関係会社の租税負担割合が20%以上である場合にも合算が免除されます。
(※注)受動的所得の合計とあるのは、より正確には一定の計算により算出される部分適用対象金額をいいます。
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