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事業活動と恒久的施設

国際税務

法人又は個人が外国で事業活動を行う場合、その外国で事業所得に課税されるか否かは、その国に恒久的施設を持ちそれを通じて事業を行っているかどうかによります。
つまり、恒久的施設を持ちその恒久的施設を通じて事業活動を行って得た所得は、その国で課税されますが、その国の恒久的施設を通じて事業活動を行っているのでない場合は、その国では事業所得に課税されません。この原則を俗に「恒久的施設なければ課税なし」と言います。

恒久的施設は英語でPermanent Establishment(PE)と呼ばれ、事業を行う一定の場所等をいいます。
そして、具体的に何がPEに該当するのかは、各国の国内法と租税条約に規定されていますが、大きく次のような類型となります。

恒久的施設(PE)の類型

➀支店PE
事業の管理の場所、支店、事業所、工場、作業場、鉱山、石油または天然ガスの抗井、採石場その他天然資源を採取する場所など、物理的な拠点がこちらの類型になります

②建設PE
建設工事現場又は建設もしくは据付工事については、所定の期間を超えて存続する場合にはPEとなります。

③代理人PE
企業の名において契約を締結する権限を有し、かつこの権限を反復して行使する代理人は、PEとなります。人的な一定の拠点と言えます。
ただし、独立の地位を有する代理人(独立代理人)はPEとはみなされません。独立の地位とは、代理人が、法的・経済的に独立しており、代理で行う行為が自己の事業の一部である状態をいいます。

④サービスPE
外国にて継続的に役務提供を行う拠点がPEを構成するとするもので、たとえば従業員が外国に出張し一定期間滞在して役務提供を行う場合に、この従業員自身がサービスPEと認定されるというものです。先進国からの長期出張者などを受け入れることの多い新興国で主に形成されてきた概念で、先進国と新興国との間の租税条約で主に規定されていることが多いですが、2007年に署名されたアメリカとカナダとの租税条約にも規定されました。

なお、これらのPEの類型とあいまって、準備的・補助的な活動など、逆にPEとならない活動も規定されています。

外国で物の販売やサービスの提供などの事業活動を行ったとしても、その国にPEがなければ課税はない、逆に言えばPEがあってそれを通じて事業を行っていれば課税がなされますので、その国での課税の有無で決まることになります。