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ペーパーカンパニーの要件「実体基準」

外国子会社合算税制

外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)が適用される外国関係会社の区分には、所得の全部が合算される「特定外国関係会社」と「対象外国関係会社」、さらに一定の受動的所得が部分合算される「部分対象外国関係会社」とがあります。
そして、「特定外国関係会社」の類型には、いわゆるペーパーカンパニーと事実上のキャッシュボックスとがあります。
このうちペーパーカンパニーとは、以下のいずれにも該当しない外国関係会社をいいます。

【外国子会社合算税制:ペーパーカンパニーの要件】

➀その主たる事業を行うに必要と認められる事務所、店舗、工場その他の固定施設を有していること(実体基準)
②その本店所在地国・地域において、その事業の管理、支配及び運営を自ら行っていること(管理支配基準)


ペーパーカンパニーの要件「実体基準」の留意点

この要件は、逆に言えば、上記➀②のいずれかを満たしていればペーパーカンパニーには該当しないということになります。

要件の➀はいわば実体基準であり、その外国関係会社が物理的な実体を備えているかどうかを問うものです。
但し、対象外国関係会社の経済活動基準とは異なり、固定施設の場所はその本店所在地国・地域に限られません。つまり、世界のどこかに保有していればいい、ということになります。

そうなると、「日本親会社の一角を転貸して固定施設を有していればいいのではないか?」と思われるかもしれません。
確かに、その固定施設が主たる事業を行うのに必要な規模であるといえれば➀は満たすのかもしれません。しかしながら、この固定施設が外国関係会社の日本における恒久的施設(PE)とみなされて、PE課税を受けることにもなりかねませんので、留意が必要です。

また、この固定施設は所有か賃貸かといった形式は問われませんが、何でもよいから固定施設を有していればいいというわけではなく、その主たる事業を行うのに必要な固定施設かどうかということが問われます。言い換えれば、いくら固定施設を有していても、それが主たる事業を行うために使用されていないようですと、➀にいう固定施設とはみなされないことになります。例えば製造業を営む会社であるにもかかわらず、雑居ビルの狭い1室しかないようですと、主たる事業を営むのに必要な固定施設とは言い難いということになるでしょう。

さらに、国税庁の見解によれば、ここにいう固定施設は、単なる物的設備ではなく、そこで人が活動することを前提とした概念であるとされています。そうなると、単なる株式の保有業など、そもそも主たる事業が人の活動を要しない事業である場合には、そもそも➀実体基準を満たしえない、ということになります。

以上のように、単に何らかの固定施設さえあればOKというわけではなく、主たる事業を行うのに必要な規模で、かつ人的な活動を伴った固定施設であることが要求されています。


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