令和5年度税制改正 ~ 外国子会社合算税制の改正
2023.01.19
昨年末に公表された令和5年度税制改正大綱において、主に納税者の事務負担軽減の観点から、外国子会社合算税制の若干の改正が盛り込まれました。
改正点は以下の通りです。
➀ 特定外国関係会社に係る租税負担割合(トリガー税率)の引き下げ
特定外国関係会社(ペーパーカンパニー及び事実上のキャッシュボックス)について、租税負担割合が30%以上(トリガー税率)であれば会社単位の合算課税が免除される規定になっているところ、この税率が「27%以上」に引き下げられます。
1割下げただけと思われるかもしれませんが、この27%から30%というのは、日系企業の進出が多い米国カリフォルニア州やニューヨーク州等、ドイツの多くの州、韓国などの法人実効税率が該当することから、それなりの数の外国関係会社が対象から除外されることになると思われます。
② 部分対象外国関係会社に係る申告書への書類添付義務の緩和
以下の部分対象外国関係会社については、申告書への書類添付が不要になり、保存で足りることになった。
(1) 部分適用対象金額がない部分対象外国関係会社
(2) 部分適用対象金額が2000万円以下であること等(デミニマス基準)により、所得合算の適用がない部分対象外国関係会社
つまり、所得合算のない部分対象外国関係会社については、一定の書類について申告書への添付義務から保存義務に改められました。
ただし、添付は不要になったものの保存は必要ですので、事務負担軽減効果はやや限定的と考えます。
③ 申告書添付書類の株主等に関する記載についての簡略化
外国関係会社に関する添付書類のうち、株主等に関する記載事項について、出資系統図に代えることができることとされました。
以上の改正は、「内国法人の」令和6年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
外国関係会社の事業年度ではないのでご留意ください。
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